カテゴリ:しろまるさんのおとぎよみ/語り・音楽( 57 )

朗読おとぎよみキャンドルナイト2011

夏至の夜にろうそくのあかりのなかで

朗読するようになりましてから

三年目となりました


今年の演目は『一千一秒物語』(稲垣足穂/作)

このたびは朗読とあわせて

影絵に初挑戦いたしました果敢なまるさん


Atelier Shiroの聴衆を惹きこんだすばらしい音響演出を

お伝えできないのが無念ですが

少しく雰囲気だけでも感じて頂けたらと

ご紹介させていただきます・・・





まだ明るいリハーサル後の台本を載せた譜面台と明かり取りのキャンドル
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朗読が始まったのは八時半を回っておりました

そのころはさすがに闇が広がって

ろうそくの明かりが際立ち美しく・・・


まーではでは、「朗読まるさんのおとぎよみ」

はじまりはじまり~



『一千一秒物語』
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【A MEMORY】 

物やわらかな春の月が中天にかかって 森や丘や河が青くかすんでいました
そして遠くのほうに岩山の背がほの白く光っていました
 そこらじゅう一面に月の光がシンシンふりそそいで 
ずっと遠くの遠くの方から トンコロピーピーと笛の音が聞えてきます 
 それはなにか悲しげな なつかしい調子で 聞えるのか聞えないのかわからないくらい
微かに伝わってきます 耳を澄すと その笛の音につれて 恨むような 嘆くような声が
なにか歌っているようですが 何を云っているのかちっとも判りません
 トンコロピー・・・・・・ピー・・・・・・
 笛の音がすると 月の光がまたひとしきり降りこぼれてきます
 すると
「たぶんこんな晩だろうよ―」
 どこからかこんなつぶやき声がしました
「え?どうしたのが」
 とわたしはおどろいて問い返しましたが 声は何にも答えません 
 そして相変わらず月の光がシンシンと降っているだけでした
 するとまた どこからともなくさっきのつぶやきが投げやるように 悲しげに
こんどは少うし腹を立てているような調子で聞えました

「たぶん こんな晩だったろうよー」
「えッ どうしたのが?」
わたしはあわてて問い返しました けれども声はもう答えようとしませんでした・・・・・・
 わたしは気がついて足もとから石をひろい上げました 
しかしむこうへ投げつけるまえに なにかがっかりしたふうに落してしまいました

 青い月夜で 山や丘や森が夢のようにかすんでいました
 トンコロピー・・・・・・ピー・・・・・・



【黒猫のしっぽを切った話】

 ある晩、黒猫をつかまえて鋏でしっぽを切るとパチン! と黄色い煙になってしまった
 頭の上でキャッ! という声がした 窓をあけると 尾のないホーキ星が逃げて行くのが見えた

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【月をあげる人】 

ある夜おそく公園のベンチにもたれていると うしろの木立に

人声がした
「おくれたね」
「大いそぎでやろう」
カラカラと滑車の音がして 東から赤い月が昇りだした
「OK!」
 そこで月は止った それから歯車のゆるゆるかみ合う音がして
月もゆっくり動きはじめた 自分は木立のほうへとんで出たが
白い砂利道の上にはただの月の光が落ちて 
きこえるものは樅の梢をそよがす夜風の音ばかりだった



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【A TWILIGHT EPISODE】

 ある夕方 電燈がともらなかったので人々がさわいでいた
 自分は自転車に乗って 電燈会社に交渉に出かけた 事務所にはだれもおらずにシーンとしていた 
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発電所の石段を駆け上ってドアをあけてみたが 
やはり無人で ただダイナモが闇の中でかすかに光っているだけであった
 窓のうすら明かりにすかしてみると 粉のようなものがいっぱい充ちているので 
何事だろうとはいって行ったとたん バタバタと音をたてて鳥みたいなものが頭の上を通った 
それがトワイライトの方へ低く飛んで行くので 追っかけて行って帽子で叩くと
パタッと落ちてガラガラとあがき廻った
 バネ仕掛の蛾だった
 同時に街にパッと灯がついた
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【ポケットの中の月】

 ある夕方 お月様がポケットの中へ自分を入れて歩いていた 
坂道で靴のひもがとけた 
結ぼうとしてうつ向くと ポケットの中からお月様がころがり出て 
俄雨にぬれたアスファルトの上をころころころころとどこまでもころがって行った 
お月様は追っかけたが お月様は加速度でころんでゆくので 
お月様とお月様との間隔が次第に遠くなった こうしてお月様は
ズーと下方の青い靄の中へ自分を見失ってしまった


【AN INCIDENT IN THE CONCERT】

 北星の夢幻曲が始まると オーケストラの中から黄いろい煙がパッと舞い上って 
会場中に拡がってしまった
 玄関にいた係員らがあわてながら窓という窓をあけ放して 
その排出につとめた 煙がなくなってしまった時 オーケストラも 
聴衆もみんなどこかへいなくなり 広い会場にはただ
まぶしい花ガスの光が降りそそいでいるだけであった
 いったい何事が起こったのか? 
会場内にいた人々が消えてしまったので 知る由もなかったが
 この不思議は たぶん その夜降るように空いっぱいに詰っていた
星屑のせいだろうということに衆論が一致した

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【A MOONSHINE】

 Aが竹竿の先に針金の環を取り付けた
 何をするのかとたずねると 三日月を取るんだって
 ぼくは笑っていたが きみ おどろくじゃないか 
その竿の先に三日月がひッかかってきたものだ
 さあ取れた取れたと云いながら Aは三日月をつまみかけたが
 熱ッッと床の上へ落してしまった すまないがそこのコップを取ってくれって云うから
 渡すと その中へサイダーをいれたのさ

 どうするつもりだって問うと ここへ入れるんだって 
そんなことしたらお月様は死んでしまうよと云ったが 
なあに構うものかと鉛筆で三日月を挟んで コップの中へほうりこんだ
 シャブン! ってね へんな紫色の煙がモヤモヤと立ち昇った
 それがAの鼻の孔へはいったもんだ 奴さんハクション! とやる
 つづいてぼくもハクション! そこで二人とも気が遠くなってしまった



 気がつくときみ 時計は十二時を廻っている 
それにおどろいたのは三日月がやはり窓のむこうで揺れていたことだ
 Aは時計の針と三日月とを見くらべてしきりに首をふっていたが 
ふとテーブルの上のコップに気づいて顔色を変えた 
コップの中には何もなくなっているのだ ただサイダーが少し黄いろくなっていたかな 
Aはコップを電燈の下ですかしながら見つめていたが やにわに口のそばへ持って行った
 止せ! 毒だよとぼくは注意したが 奴さんは構うもんかと云って 
その残りのサイダーをグーと飲んじまった 
きみそれからだよAがあんなぐあいになっちまったのはね


 でもそれからぼくは いくら考えても判らないものだからS氏のところへ行って 話したんだ
 デスクの前でS氏は ホウホウと云って聞いていたが
 まさかと云うから ぼくは
 いや現に眼の前に見たことですよって云うと 
S氏は フンそれでその晩のお月様は照っていたかいって聞くんだ 
ぼくは そりゃすてきな月夜で そこらじゅう真青でしたと云うと
 S氏はシガーの煙を環に吐いて
 ムーンシャインさ! って笑い出したのさ


 いったい話はどうなっているんだって云うのかね? 
 そうさ それが今日に至るまでも判然としないものだから きみにきいてみようと思っていたのだよ


 ではグッドナイト! お寝みなさい 今晩のあなたの夢はきっといつもとは違うでしょう



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後ろからろうそくの明かりで照らされた影絵は
かみしばいの舞台で・・・

さて皆さんのこの夜の夢は如何に・・・?!



ご来場の皆さんには影絵のカードをお配りしました
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裏には先に少しくご紹介いたしましたもの

改稿いたしました寄せ書きを・・・
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このたびはあらためて

朗読の楽しさを堪能いたしました

そして影絵の楽しさにも出逢いました

お聴きくださった皆さんに感謝


きっとまたどこかで朗読おとぎよみを

お聴きいただけます日が

おとずれますことを願って・・・・








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by otogiyomi | 2011-06-27 16:33 | ろうどく | Trackback | Comments(2)

タルホのハナシ

六月

一日一日、夜がみじかくなって参りました


夏至の朗読にむけて

少しく題材についてのお話を・・・

『一千一秒物語』

作者は「稲垣足穂」(以下:「タルホ」)

簡単に紹介しますと、

タルホは1900年12月26日生まれ(1977年10月25日没)

大正から昭和にかけて

いわゆるモボね

極貧生活もしたけれど

作品はキラキラしています




代表作でもある『一千一秒物語』はタルホの処女作

17歳の頃から綴っていたもので、刊行は23歳の時


夜景画の黄色い窓からもれるギターを聞いていると
時計のネジがとける音がして 
向こうからキネオラマの大きな月が昇り出した


こうして物語は始まり

そして物語はいくつものコントから織りなされる

モダンで御洒落で攻撃的で硬質な

透明な硝子の電球とそのフィラメントのよう





ある晩、黒猫をつかまえて
鋏でしっぽを切るとパチン! と黄色い煙になってしまった
頭の上でキャッ! という声がした
窓をあけると 尾のないホーキ星が逃げて行くのが見えた



こうして想像し得る風景を突然にくるんとひっくり返してしまうのです


ある晩 露台に白っぽいものが落ちていた
口へ入れると冷たくて カルシュームみたいな味がした 
何だろうと考えていると だしぬけに街上へ突き落とされた とたん 
口の中から星のようなものが飛び出して 
尾をひいて屋根のむこうへ見えなくなってしまった 
自分が敷石の上に起きたとき 
黄色い窓が月下にカラカラとあざ笑っていた





流れ星と取っ組み合いしたり

お月様に石を投げつけたりもします

性悪なタルホ



ある夕方 お月様がポケットの中へ自分を入れて歩いていた 
坂道で靴のひもがとけた 結ぼうとしてうつ向くと 
ポケットの中からお月様がころがり出て 
俄雨にぬれたアスファルトの上を
ころころころころとどこまでもころがって行った
お月様は追っかけたが 
お月様は加速度でころんでゆくので 
お月様とお月様との間隔が次第に遠くなった 
こうしてお月様はズーと下方の青い靄の中へ
自分を見失ってしまった



月や星がいっぱい登場するにもかかわらず

とても非自然的な世界感



けれどやはり

月も星も明るく光っています







「何をちョこざいなお月様」



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by otogiyomi | 2011-06-04 11:10 | ろうどく | Trackback | Comments(0)

ろうそくろうどく

「ほんやくこんにゃく」ってあったね

ドラえもんの道具ね


閑話休題


5月になりました

御日様がながく居てくれて

一日が少しく長く感ずる今日この頃


夏至の恒例

キャンドルナイト

今年もろうそくの明かりのなかで

朗讀まるさんのおとぎよみが有ります




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今年の夏至は六月二十二日

題目は「一千一秒物語」稲垣足穂・作


まるさんがはじめて

人様の前で朗読せむとしたときに

「戯屋の狐」(ぎやのきつね)という

お話を書いたのだけれど

そのとき最初にイメージしていたのが

「一千一秒物語」


実際には「戯屋の狐」「一千一秒物語」とは

まったく正反対のイメージになったのだけれど・・・




それから五年という月日を経て

いまやっと「一千一秒物語」を読む時が来たのだなと

感慨もひとしお



このたびははじめて

影絵にもちゃれんぢ

ろうそくの明かりで影絵なんて

出来ンのかねーと思いつつ

告知しちゃうもんね


音響・演出はいつもなかよしAtelier Shiro


お料理は絶品間違い無しの

「イタリア料理 ラ・フォルケッタ」にて

夏至の夜に

お待ちして居ります













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by otogiyomi | 2011-05-02 19:08 | ろうどく | Trackback | Comments(2)

朗讀おとぎよみ『よだかの星』


2010.6.20

イタリア料理のレストラン

ラ・フォルケッタ
のキャンドルナイトにて

朗讀まるさんのおとぎよみが催されました

演目は『よだかの星』
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作者の宮沢賢治は日本人なら誰もが知っているふぇいますな御方




今から十余年前・・・

賢治の生誕百年の年

彼の生まれ育った岩手県花巻へ旅立った若かりし頃のまるさん

初めてのひとり旅でした

みちのくひとり旅ね




そして今あらためて賢治の世界はまぶしくも土臭く

『よだかの星』はきゅんきゅん致します



このたびもすばらしい音響演出はまるさんとの息もピッタリのAtelier Shiro

彼の選ぶ音楽はいつもまるさんの思い描いている世界観にしっくり致します

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クライマックスにはベートーヴェンのピアノソナタ第八番悲愴第二楽章の美しい旋律が・・・






キイテミテ↓






ラ・フォルケッタのキャンドルナイト特別コース料理で満たされたおなかと

美味なるワインなぞでほろ酔いのよよいのよい・・・

ろうそくのゆらめくほんのりとした明かり・・・

そのろうそくの燃焼による酸欠という睡魔熱烈歓迎的な状況の中

最後まで朗読をお聴きくださった皆さまにこころからの感謝を・・・
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by otogiyomi | 2010-07-05 21:29 | ろうどく | Trackback | Comments(0)

さっぽろキャンドルナイト

朗読のおとぎよみ・・・

ことしも夏至(の前日)に

ろうそくを灯して

朗読いたします


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『よだかの星』

演目を決めるにあたって

宮沢賢治作品はまるでエントリーしていなかったので

意外な展開のような

為るべくして成ったような・・・


併し賢治作品は今あらためて読んでも

スペクタクル

きっかけをくれた五歳児に感謝しつつ

ことしもゆらゆらろうそくとすてきな音楽の演出のなか

宇宙を浮遊し星めぐりしながら読みたいと思います




どなたさまもお気軽にお集まりください





Candle Night Dinner
~季節のお料理と朗読の夕べ~

ゆらめく明かりほんのり灯る
五感をくすぐるコース料理
朗読に耳を澄ますと
ゆったり流るる
夏の夜の夢心地

二〇一〇年六月二十日(日曜日)
午後六時より
おひとりさま四千円(要予約)

イタリア料理 ラ・フォルケッタ
江別市西野幌93-17(野幌中学校傍)

予約問合せ電話
011-398-7694(ラ・フォルケッタ)
またはまるさん宛メール
otogiyomi@@excite.co.jp(@をひとつ消して送ってください)





さっぽろキャンドルナイト
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by otogiyomi | 2010-06-13 09:23 | ろうどく | Trackback | Comments(0)

耳なし芳一のはなし

昨年・・・

2009年夏至

さっぽろキャンドルナイトという

催しにて、ろうそくのともし火のなかで

朗読いたしました



演目は小泉八雲・作『耳なし芳一のはなし』
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裸身を経文で書き尽くした筈が

耳だけ書き忘れた為に

切り落とされてしまうという場面が印象的な日本の怪談

おばけがいっぱい登場します

怖ろしいですねぃ



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ゆらぐろうそくの明かりは

怪談にはもってこいの照明効果

さらには朗読の相方でもあるatelier shiro

音の演出は武満徹さんの現代音楽などを取り入れて

クライマックスには失禁必至の

耳なし芳一となりました





さて今年も夏至が近づいてきました

一年でいちばんみじかい夜・・・

次はどんなおとぎばなしを読みましょうか
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by otogiyomi | 2010-05-14 18:00 | ろうどく | Trackback | Comments(0)

おとぎよみはじめて物語


ブログタイトルを『紙芝居 まるさんのおとぎよみ』から

『朗讀紙芝居 まるさんのおとぎよみ』に改めました

けしごむはんこでツクッタヨ↓
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というのも何故まるさんが紙芝居を読むようになったかというと

ソモソモ朗読が発端なのでした、ということをハタと思い出したのでした




初めて人様の前で音読をしたのは彼是四年前の春

革工芸職人・水彩画家・木版画家の異種異様な

三人の作家たちで企画開催した展覧会で

オープニング・インスタレーションとして発表したのが

最初のおとぎよみでした




そこで読んだのは『戯屋の狐』というタイトルの自作の御伽噺

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展覧会ではお話にあわせて創作した版画作品を発表
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趣向を凝らした音響や照明などの演出も相俟って

それはそれは愉快な朗読の会で

以来まるさんは音読の快楽に溺れたのでした


また近近に朗読のおとぎよみも致しますよ~
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by otogiyomi | 2010-04-13 20:39 | ろうどく | Trackback | Comments(0)


語り・音楽・影絵・人形劇などの「しろまるさんのおとぎよみ」のこと。愛犬あすぱら君との「土に暮らすかたち」などの徒然も。


by まるさん

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