タルホのハナシ

六月

一日一日、夜がみじかくなって参りました


夏至の朗読にむけて

少しく題材についてのお話を・・・

『一千一秒物語』

作者は「稲垣足穂」(以下:「タルホ」)

簡単に紹介しますと、

タルホは1900年12月26日生まれ(1977年10月25日没)

大正から昭和にかけて

いわゆるモボね

極貧生活もしたけれど

作品はキラキラしています




代表作でもある『一千一秒物語』はタルホの処女作

17歳の頃から綴っていたもので、刊行は23歳の時


夜景画の黄色い窓からもれるギターを聞いていると
時計のネジがとける音がして 
向こうからキネオラマの大きな月が昇り出した


こうして物語は始まり

そして物語はいくつものコントから織りなされる

モダンで御洒落で攻撃的で硬質な

透明な硝子の電球とそのフィラメントのよう





ある晩、黒猫をつかまえて
鋏でしっぽを切るとパチン! と黄色い煙になってしまった
頭の上でキャッ! という声がした
窓をあけると 尾のないホーキ星が逃げて行くのが見えた



こうして想像し得る風景を突然にくるんとひっくり返してしまうのです


ある晩 露台に白っぽいものが落ちていた
口へ入れると冷たくて カルシュームみたいな味がした 
何だろうと考えていると だしぬけに街上へ突き落とされた とたん 
口の中から星のようなものが飛び出して 
尾をひいて屋根のむこうへ見えなくなってしまった 
自分が敷石の上に起きたとき 
黄色い窓が月下にカラカラとあざ笑っていた





流れ星と取っ組み合いしたり

お月様に石を投げつけたりもします

性悪なタルホ



ある夕方 お月様がポケットの中へ自分を入れて歩いていた 
坂道で靴のひもがとけた 結ぼうとしてうつ向くと 
ポケットの中からお月様がころがり出て 
俄雨にぬれたアスファルトの上を
ころころころころとどこまでもころがって行った
お月様は追っかけたが 
お月様は加速度でころんでゆくので 
お月様とお月様との間隔が次第に遠くなった 
こうしてお月様はズーと下方の青い靄の中へ
自分を見失ってしまった



月や星がいっぱい登場するにもかかわらず

とても非自然的な世界感



けれどやはり

月も星も明るく光っています







「何をちョこざいなお月様」



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by otogiyomi | 2011-06-04 11:10 | しろまるさんのおとぎよみ/語り・音楽 | Trackback | Comments(0)
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